普段なら別に気になんない。気になんないけど、今日のあれはなに?
ラジオが終わり、家までの送迎車の中で今日のラジオのことを思い出して、徐々にもやもやが怒りに変わってきた。
今日は髙地がゲストのラジオの日だった。髙地がジェシーの事を話していて、二人が恋人同士のような、そんな惚気みたいな内容だった。そんなことはいつも通り、そういうノリだし、二人が好きな人へのリップサービスなのは分かっている。
だた、今日は何故か腹が立った。
こんな時はご飯食べて酒飲んでゲームでストレス発散して寝てやろう。そう思いながらマンションに着いた車を下り、早足でマンションのエントランスを抜けてエレベーターに乗った。冷静になりたくて別の事を考えようとするけれど、気が付いたらその思考に戻って来てしまう。
エレベーターを下りてイライラしたまま自分の部屋の前まで着くと、鍵を差し込んで回して解錠する。ドアノブを回して開けると、電気を消して出た筈のリビングの電気が点いていた。
誰かが居ることは明らかで、誰かは合鍵を持っている恋人しかいないわけで、タイミング良いのか悪いのか、後ろ手でドアを閉めて溜息を吐くと恋人の靴を軽く蹴ってから靴を脱いだ。
明らかに不機嫌です、というようにどかどかと足音を立てて廊下を歩き、リビングのドアを開けた。
「あ、お疲れー。おかえりじゅり」
カーペットの上にうつ伏せでスマホを見ていたジェシーが、ドアを開けた俺を見て手をひらひらと振る。そしてその視線を再びスマホに戻してしまう。動画でも見ているようで耳にはイヤホンが着いている。ということは、わざと音を立てたのも聞こえていなかったのかもしれない。
まるで我が家のように寛いでいるジェシーは風呂でも浴びたのか、俺の家に置いたままの寝巻を着ている。雰囲気を見ると、まだ俺の不機嫌さに気付いていないらしい。
おい、俺は無視かよ。と、いらいらしたまま机にカバンを置き、寝転がっているジェシーの背中を踏みつけた。
「!?びっくりした。どうしたのじゅり」
足が背中に乗っているのを確認してから俺を見上げる。そうやって漸く俺が不機嫌なことに気が付いた。俺を見上げるその顔に心当たりはなさそうで、それが余計にイラつく。
睨みつけるように見てくる俺にジェシーは何度も瞬きをして、俺の様子を窺っている。ただ、土俵にまだ立ってない相手を責め立てるわけには行かず、イライラしながらも溜息を吐いて足を退けると「シャワー浴びてくる」と言い放ち、ジェシーを残してリビングを出た。
脱衣所に入ってからも抑えられず、乱暴に服を脱ぐと不機嫌な自分の顔が鏡に映り、さらに眉間に皺が寄ってしまう。
何も分かってないジェシーにもだけれど、ジェシーとの惚気を喋っていた髙地に対して、俺とジェシーの仲を知らないとはいえ、ムカついてしまう。仲が良い事は知っているし、ジェシーが人として髙地を信用していることも、友情というより憧れに近い感情を抱いているということも知っている。仲が良いのは今に始まった事じゃない。
それなのに、やたらと今日は引っかかった。
俺ってジェシーの恋人だよな?なんで恋人が他の男といちゃいちゃしているところを聞かなきゃいけないんだよ。浮気ではないし、メンバーだからそういうのもあった方がファンは喜ぶことも、知っている。知ってはいるけれど、じゃあ俺のこのもやもやは、どこに行けばいいんだ。
溜息を吐き、バスルームに入って給油のスイッチを入れてシャワーの蛇口を捻る。
シャワーを浴びながら、何も考えないように髪を洗って身体を綺麗にすることに集中する。頭が終わったら、顔と身体も。
ただ無心に身体を洗った後で、ふと考える。ジェシーが来ているし、もしかしたらするかもなんて思って、シャワーヘッドを取った。
こんなにイラついているのに恋人の為に中を綺麗にしているなんて、そういうところは完全に惚れた弱みだ。それに、ジェシーとのセックスが好きだから仕方ないし、求めてしまう。
けれど自分のこういうところ、割と好きで嫌いだ。
中を綺麗にし終えて脱衣所に出るとタオルで身体を拭いてから置いていた下着とスウェットを着た。
そして、ふう、と息を吐く。風呂を浴びている間に怒りが落ち着いてしまった。だからこそリビングに戻ってジェシーの顔見るのが、嫌だった。
やっぱり、今日彼が家に来ていたのはタイミングが悪い。いなければ勝手に自分でゲームして発散していただろうに、ぶつける相手がいるとなると物凄く当たってしまいそうだ。
置いているトリートメントを掌に出して、髪に満遍なく付けた後、ドライヤーを手に取ってスイッチを入れる。
髪を乾かしながら、もやもやいらいらした気持ちが再び顔を出し始め、髪を乾かし終わった後、軽く整えてから脱衣所を出てリビングに戻った。
ドアを開けるとすぐにジェシーが顔を上げる。心配そうに見ているその目と目が合い、俺はどうしていいか分からず、少し眉を寄せる。それがまた不機嫌そうに見えてしまったかもしれない。ジェシーは立ち上がると俺の傍に寄り、まだ若干湿っている俺の髪に手を差し込んだ。そして、顔色を伺うように覗き込んでくる。
「具合悪い?」
「……悪くない」
本当に心当たりがないのかと、じろりと睨んでしまった。虫の居所が悪く、一人にさせてほしくて差し込まれた手を腕で払い退けると、ジェシーが少し悲しそうに眉を垂らした。
俺がいじめているみたいになっているけれど、お前が悪いんだと言ってしまいたい。けれど、嫉妬しているなんて言いたくなくて、口を開いたけれどやっぱり閉じて飲み込んだ。
ジェシーはそれに気付いていないのか、慌てて俺に話し掛ける。
「なにか食べた?作ろうか?」
「いらねー、寝る」
不機嫌な俺のご機嫌を取ろうとしている彼の態度を見ると、ラジオ聞いていなかったのかもしれない。聞いて無くても別におかしくはないし、聞いていたとしても俺が怒っている理由が分からないかもしれない。
俺だって、何故引っかかっているのか分かっていない。それを理解しろと言うのは可笑しな話だ。だが、かといってどうしても気持ちが治まってくれない。ジェシーは戸惑ったまま俺を見詰めていて、このまま不機嫌なままでいいのかと、冷静に思っている自分もいる。理由も言わずに責めるなんて、自分なら面倒だと思う。
折角なら別の方法でストレス発散してやろう。目の前に恋人がいるのだし、悪い話ではない。そう思って顔を上げるとその首に腕を絡ませた。
「それよりベッド行こうぜ」
「え?じゅり?」
「だから、セックス。するんだよ。こい」
ぺちぺちと頬を叩くと首に絡ませていた手を解き、腕を引っ張る。戸惑ったままのジェシーは、俺に手を引かれるままに寝室へと着いてきた。
寝室に入ると照明の電気だけをつけ、ベッドに誘う。未だ状況を飲み込めていないジェシーの手を引っ張り、ベッドの端に座らせ、ジェシーの股の間に割って入り、座った。
その時点で流石に何をしようとしているのか察したのか、慌てて俺の肩を掴んできた。俺は、その手に抗議した。
「なんだよ、」
「なんだよじゃなくてどうしたのじゅり、」
「どうもしてない。今からふぇらする」
ジェシーの太腿に手を置き、ズボンを引っ張って脱ぐように催促すると、納得していない顔のまま少しだけ腰を浮かせてくれる。俺はズボンと下着をずらし、足首まで寝巻と下着を下ろした。当たり前だけれどまだ萎えたままのジェシーのそれが目の前にあり、手を添える。
ちらりとジェシーを見上げれば、戸惑ったままではいるものの、少しだけ興奮しているのが伝わってくる。その顔を見ながら亀頭にキスをし、口に含みながらゆっくり扱くと、次第にかたくなっていくそれに舌を這わせ、ゆっくり舐めて堪能する。ジェシーも気持ち良いのか、少しだけ息を詰めている。
髙地にはこうやってジェシーを気持ちよくさせられない。分かってるよな?そう目で訴える。お前の恋人は誰なんだよ。俺だろ?そう言葉で言えない分、身体に分からせるために根元からゆっくり舐め上げれば、髪を撫でられた。その手を払いのけたいけれど、もっと撫でて欲しくもある。
今日は俺の気持ちが迷子過ぎる。それは目の前の恋人のせいでもある。責任は取ってもらわなきゃいけない。
再び口の中に含み、舌でぐるりと亀頭を舐めて先端を舌でなぞる。目線だけ上げて目を合わせ、ここから出したいだろ?と訴えるようにそこを吸ってみせれば、気持ち良さそうに息を吐いている。
目を細めて切羽詰まったような真面目な顔で、俺を見つめてくるその顔を見ていると、俺の方が堪らず入れて欲しくなってくる。
けれど、今日の主導権は絶対に握らせたくない。
「じぇす、いきたい?それともいれたい?」
丁寧にそれを舐めながら尋ねれば、時折びく、と震えて気持ち良さそうで、ゾクゾクする。
「……っじゅり、いれたい」
荒い息の中そう言うジェシーの言葉に、俺は満たされて気分が良かった。
俺はそれから口を離し、手で扱きながらもう片方の腕を伸ばし、サイドチェスト開けて引き出しの中を探る。一回分のアナル用ローションを取り出し、俺はそのまま身体を起こしてジェシーの肩を掴み、押し倒して膝の上に跨った。
着ていたスウェットのズボンと下着を脱いでベッドに下に放ると、ローションの包装を破り、とろりと手の中に出す。そしてその指を自分の後ろに塗り付ける。
残りは注入するように中に入れ込むと、その冷たい異物に身体がぞわぞわする。
ジェシーは俺の痴態を眺め、興奮しているようで荒く息をしている。
「じゅり、今日どうしたの……?」
「うるさい、だまってちんこたてて、ろ」
「え、ちょっと、じゅり?」
睨むように目を細めてそう言い放つと、ジェシーのものを手で固定してゆっくり腰を落としていく。それが入り口を押すと、期待で胸が熱くなった。
「ん、ん、……あ、はいる、……んんん♡♡」
慣らしが足りなかったのか、肉が広げられて亀頭が入っていくけれど、中々進んで入っていかない。カリが引っかかってもどかしく、少し勢いをつけて腰を下ろすと前立腺を擦りながら半分まで入った。
「~~~~♡♡♡」
気持ちよくて震えるけれど、全部はまだ入れられない。手を突いてハァハァと息を整えていると、ジェシーはもどかしそうに腰に手を添えようとしていて、その手を諭すようにぺち、と叩いた。
「今日は、なんもさせねぇ……黙ってみてろ、」
意地悪く笑って見せるとゆっくり腰を落としていく。中を擦って広げていくそれが気持ち良くて、甘い声が勝手に漏れる。
快感に身を委ねてしまうと、ジェシーに好き勝手されてしまう。だからなるべくいいところを避けるように腰を落とし切ると、一度息を吐いてから腰を揺らし始める。ジェシーは眉を寄せて俺を見上げていて、きっといつもと違う俺に戸惑っているのだろう。
ジェシーをいかせるためだけに腰を振るけれど、押し広げて中を擦ってくるそれはやっぱり気持ちいい。快感に耐えようとするのに、気持ち良いところに当たる度に太腿が震えて動きが鈍くなってしまう。
「……ん♡♡」
たまに物足りなくて前立腺を押す様に腰を動かすと、頭がびりびりする。甘く息を吐いてジェシーを見降ろし、俺の腰に伸びていた手を払い、肩の下を両手で押さえつけて触ることを許さない。
力ではジェシーに敵わないけれど、力に任せた後で俺に怒られるのを知っているからか、困った顔をしただけだった。
「じゅ、り触りたい」
「あは♡だめ、」
「なんで、じゅり……」
情けなくそう言うジェシーを無視し、少しだけ中を締めてから腰を揺らすと、気持ちいいのか俺の下で熱い息を吐いている。
俺の中でジェシーの亀頭が前立腺を潰して気持ち良くて、俺も堪らない。
「じゅり、」
「は、うるさい、」
「なんで、怒ってるの」
聞き捨てならないその言葉に反応して、勝手に眉間に皺が寄る。ジェシーが悪い訳じゃないことは分かっているけれど、腰の動きを止めてジェシーを見下ろした。
何か言いたくて口を開き、言葉にしようとするけれど言葉にならない。発散できないせいか余計にむかついてしまう。
唇を尖らせて不機嫌な顔をしている俺の顔を、戸惑ったまま見上げているジェシーの首に手を這わせる。
軽く首を絞めるように掴むとまた再び腰を揺らし始めた。
ジェシーは少しだけ苦しそうに口を開いたけれど、腕に力を入れていないからそこまで苦しくは無いだろう。
「あ、あ♡♡きもち、い♡」
中が堪らないほどに気持ち良く、前立腺を押すように擦り、ジェシーの勃起したそれが当たるように腰を揺らすと頭の中がチカチカしはじめる。ジェシーのそれはガチガチに勃起していて、刺激のせいでどう動いても気持ち良くなってしまう。
甘い息が漏れて快楽を追うように腰を振っていると、射精感がせり上がってきた。絞めていた首から慌てて手を離し、ジェシーの上着を捲り上げると腰を激しく振って前立腺を擦らせる。
「ひ、♡やば、イク、イキそ、♡♡あッ♡♡」
「……っあ、じゅり、」
無我夢中で腰を振り、頭の中が真っ白になったと同時に、快感の大きい波にのまれてしまう。身体を痙攣させながら、射精してしまった。びゅく、とジェシーのお腹に精液が広がり、白いそのお腹の端正な筋肉を汚している。俺はそれを見下ろしながら、満たされていた。
「じゅ、り」
ぜぇぜぇと肩で息をしていると頬を撫でられる。まだ、正直に言うともやもやは晴れていない。触れられている頬の手を払うと、ジェシーは目を細めて身体を起こしてきた。
俺はイッた余韻のせいですぐに反応できず、手で押し返そうと動いた腕はジェシーに掴まれて阻止された。
「じゅり」
「……」
「大好きだよ、愛してる」
「……っ」
睨むと真剣な顔をしたジェシーが見つめてくる。
俺は眉を寄せたまま目を逸らした。
「じゅり、」
「服に、精液つく、」
「じゅり」
「んだよ、おまえはこーちとでも結婚すれば?」
いうつもりが無かったのに、吐いて出た大きな声に、ハッと我に返り顔が真っ赤になる。
そして、言葉にしたら溢れてくる感情に泣きそうになって、ジェシーの肩を弱々しく叩いた。
「じゅ、」
「うるせー、俺じゃなくてこーちと付き合えばいいじゃん」
「ちょ、」
「だまれ、しゃべんな、っ……んんっ♡♡」
止まらない俺の口にジェシーが不意に腰を揺らしてくる。イッたばかりの敏感な身体は刺激に弱く、気持ち良くて声が漏れた。俺は慌てて睨むけれど、ジェシーはじっと俺の顔を見つめている。
「じゅり」
「……くそ、ン……っあああ♡♡だめ♡く、そ、」
むかついて動いてイカせてしまおうかと腰を浮かせると、ジェシーの腕に腰を押さえられ、勢いよくパンッと腰を打ち付けられた。肉がぶつかり合う音がして中を抉って来たジェシーのものに、またびりびりと快感が走る。
「ひ、♡ううう♡♡」
「……じゅり、好きだよ、こーちは違う、メンバーとして好きなだけ、仲が良い、それだけ」
「うるせ、っ♡♡」
悪態を吐いて暴れてやりたいのに、腰を振られると抗えない。前立腺を擦られて堪らず身を捩ると、腰を動けないように固定されてしまい、そこをぐりぐり押される。耐えようと力を入れると中を締めてしまい、圧迫されたそれにまた前立腺を擦られる。頭の中がまた快感でいっぱいになってしまう。今日は俺が主導権を握っていたいのに、何も考えられなくなる。
「愛してるよ、じゅり」
「しらね、あ♡も、♡」
背中にジェシーの手が添えられたと思ったら身体を押し倒されてしまう。いつの間にか体勢が変わり、上にジェシーがいた。そして、そのまま俺の足を抱えると、勢いよく上から押しつぶしてくるように腰を揺らした。
「っ♡♡あ、壊れる、う♡♡それ、や、ぁ、♡♡」
一番奥をノックされるように押し付けられて、前立腺とは違う気持ち良さに首を振る。
腕をぴんと突っぱねてジェシーの身体を押すけれど、構わずに腰を振られて気持ち良すぎて頭が馬鹿になりそうだった。
「や、ぁ♡も、イク、イク……~~~♡♡」
ごり、と奥を何度も突かれ、快感で何も考えられなくなり、勝手にびくびくと身体が震え、制御できないままビュク、と射精してしまった。白い液がスウェットに少しついてしまったけれど気にする余裕もない。
ふー、ふー、と浅く息を吐いているとまた中を潰すかのように腰を振られ、快感に引き戻される。
「も、……♡♡やだ、休ませろ……っあ!、ンンンッ♡♡やだ、ああ♡♡」
「あ、じゅ、り……っ」
がくがく身体を揺さぶられて頭がちかちかして足は痙攣している。イッたばかりなのにまた激しく責められ、言い得ぬ快感に身体が震えるとまた自身からビュク、と薄い精液が吐き出された。イッたせいでジェシーのそれをぎゅううと締め付けてしまう。中でパンパンに膨らんだそれが、刺激に耐えられずに中で波打った。
「……っじゅ、り」
ジェシーが息を詰めると、予告なく中でどくどく熱いものが出されてしまった。その感覚に、身体が震えた。
浅く息を繰り返していると、ジェシーが覆いかぶさってくる。耳元で、ハァハァと荒く息を吐き出ながら、俺の身体を抱き締めた。
「……愛してる。愛してるよじゅり」
「……は、ばかじぇす、」
愛しそうに頬を撫で囁かれると、顎を掴まれてジェシーの方に向かされ、柔らかく唇が重なった。荒く息をしている俺に、お構い無しで熱いキスをしてくる。
薄ら開いた目でジェシーを確認するけれど、その目はまだどこかぎらぎらしていて俺を求めていた。
「好きだ」「愛してる」と言うのなら、そんな言葉より態度で示してあんなことすんなよって言ってやりたかったけれど、降ってくる甘いキスに耐え切れない。酸素が足りない頭はクラクラしていた。
「もっと、もっとだよ。樹」
「もっと俺だけ考えて」
「愛してるからもっと俺だけを」
うっとりとした声でジェシーにそう言われたような気がしたけれど、再び腰が揺れ始めると次の瞬間には、もう何も考えられなくなった。

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