引退___配信

『ん、あ、うつった……♡』
『みんな、みてる?じゅっただよ…っ』
配信通知を受け取り、ひらひらと手を振っている彼が画面にうつっている。寝転がっていて身体は見えているけれど、顔だけはうつさないいつものスタイルだ。
けれど、いつもと違うのは、タイトルが引退配信になっていることだ。皆突然のことで驚いていて、コメントはざわついていた。

ーじゅった!ー
ー引退配信ってどうゆうこと??ー

『そ、あの、ね、突然で、ごめんね、っ……今日で引退、すんの……っ♡』
吐息混じりに話す声は少しだけ震えている。それは寂しさを感じて泣きそうになっている訳ではなくて、快感に耐えるような声だった。

ー嘘だろ、まじかよー
ーやめないでー

『ごめ、みんな今まで、ありが、と……ン♡』
もぞもぞと体を捩らせている。声も心なしか高く、落ち着きがない。

ーもうオナニーしてんの?かわいいー
ーじゅった、寝てるけど後ろ弄ってんの?ー

『みんな。今日で終わり、だからいっぱい、俺で、シコって……っんぁ♡』
びくんと身体を揺らすと肌が赤くなっていく。吐息も途切れ途切れだ。

ー最後だから顔見せてよー

『ンっ、顔……?だめ、……え?』
拒否した後で微かな声が聞こえ、じゅったが後ろを振り返ると何か小さな声でやりとりしているのが聞こえる。
それを察したみんながコメントを一斉に打った。

ー誰かいんの?ー
ーなんだなんだ?ー

いつもと違うその状態に、いつも見掛ける常連のリスナーは明らかに慌てている。
『……マスクありなら、いーよ♡って……』
振り返ると嬉しそうにそう言って、ごそごそと手を伸ばしている。マスクを探しているのか、顔はまだ見えない。

ーまじかよ、誰かいんじゃんー
ーえ、まじかよ?!ー

『……あの、ッ、今日ね、引退、なまはいしん……せっくす、する、よ♡』
甘い声を上げながら告げられた言葉は、衝撃だった。今までの配信は絶対に一人でしていたからだ。オフ会や外部との交流は絶対に無く、孤高だった彼が誰かと一緒に居ることに何より驚いた。

ーまじかよまじかよー
ー俺のじゅったが!!ー

『かお、みえる?』
カメラに写るように少しだけ角度を調整すると、マスクをした彼の顔が見え、目元だけでもにっこり笑っている。それだけでも整っているのがよく分かる。

ーめっちゃ可愛いー
ーいや目だけしかでてないだろー
ー目だけでも可愛いってわかるわー

『はは、ありが、と……♡』
手をヒラヒラと振ると、言葉尻を上げながら時折体を跳ねらせる。その反応で、既に始めていることは明白だった。

ーえっろー
ーいまなにされてんのー

『いま、いま、ね、彼氏が、うしろ、かきまぜてる……♡』
目を細めて熱い息を吐くと、呼吸が苦しいのか、マスクを少し浮かして熱い息を吐いている。彼氏、という言葉に反応し、一気にコメントが流れる。悲しんでいるリスナーも居るけれど、誰かに与えられる快楽に喘いでいる彼に皆、興奮していた。
『ゆび、が、ふとくて、……ンン♡……やば、きもちい、っ♡♡』
快感に浸っているのか上手く喋れないらしい。それでもちゃんと視聴者に伝えようとしているのだろう。なんとか途切れ途切れに言葉を続けてくれる。

ーまじかよじゅったに彼氏!?ー
ーは、死ぬ。けどえろー

『あ!だめ、やば、イクって!そんな、したら……ッ』
慌てた様子でじゅったは振り向いてしまった。どうやら後ろの彼が先程のじゅったの言葉に煽られたようで指を激しく動かしているのだろう。じゅぽじょぽといやらしい音が響いている。
『だめ……ッ!……ッ~~~~ンンンッ♡♡』
何度も首を振っていやいやと快感から逃れようとしているけれど、目をぎゅっと瞑って布団を握り締めた後、大きく体が跳ねた。どうやら、イッてしまったらしい。

ーめっちゃ顔あかいかわいいー
ー中イキしたの?ー

『ン……♡なか、いき、したぁ♡』
顔を上げ、虚ろな顔でコメントを読んだのか、ちゃんと実況してくれる。涙目で顔を蕩けさせたまま頷くその顔が可愛らしくていやらしく、コメントが一気に流れた。

ー彼氏できたからやめんの?ー
ー超とろ顔やっばー

『そ、彼氏、ちょう俺の事すきだから、……や、ちょ、っとまた中いじんの、やだ……』
ふっと嬉しそうに笑っていて、自惚れたいのか上機嫌だ。けれど、また、指を中で動かされているのか、身体を震わせると、慌てて後ろを向いた。そして、声を掛けられたのか、また何か話している。
『え?…………ん、わか、った…』
小さな声でやりとりしたあと、顔の向きをカメラに戻すと、恥ずかしそうに眉を寄せている。

『みんな、おれ、もう、入れられたい、彼氏のふといの、いれてもらって、いい……?』
言わされていることは分かるけれど、じゅったも満更でもなさそうだ。カメラを覗き込みながら、吐息交じりにそう言った。首を傾げながら言う仕草が可愛いらしい。

ーだめー
ー俺がいれたい!ー
ー入れて貰って!ー

色々なコメントが飛び交っているけれど、コメントを読もうとする目が虚ろになる。そしてもどかしそうに俺達に訴えかけた。
『ね、いい?も、むり、かれしの、ほしい、』
まだ中で指を動かされているようで、切羽詰まったように懇願される。布団をぎゅっと握ったまま、今にも泣きそうな顔をしている。

ーもうちょっと我慢しようー
ー泣きそうじゃんかわいいー

『やだ、もうちんこいれてほしい、から、いい?いいよな、もう、ッ』
そう言った瞬間、じゅったの身体が後ろに引き摺られ、少しだけ後退すると後ろに誰かが映った。
『ッ~~~~あぁっ♡♡♡』
彼氏の方が我慢できなくなったのだろうか、パン、という肉がぶつかる音がすると同時に、じゅったが甘い嬌声をあげ、カメラが衝撃で倒れた。

ーカメラ倒れた!!!!!ー
ーどんだけ激しくされてんだよー

暫く甘い声が響いていたけれど、カメラが伏せってしまった後、がさがさと音がする。カメラが倒れたことに気付いたのか、カメラが動いた。
『んーーーー……ごめん♡みんな、きもちよすぎ、て♡』
甘ったるい声でそう言いながらカメラを定位置に戻すと、一瞬だけ後ろで腰を振っている彼氏らしき人が写った。彼も顔が映らないようにマスクをしているようで、どんな顔かはわからない。

ー彼氏一瞬うつったぞー

『う、そ、マスクさせてて、よかった、』
一瞬慌てて後ろを見るけれど、マスクをしているのを見て安心したのだろうか、笑っている。暫くして再びじゅったの身体が大きく揺れ始めた。気持ち良さそうに目を細めて喘ぎながらも、コメントを見ようと目線はカメラを見ている。

ー彼氏かっこよすぎて勝ち目ない死んだー
ー彼氏のふといの?ー

『ん、かれし、の、ちんこ、めっちゃふと、い……♡やばい、よぉ♡』
快感に目を閉じてしまいたいのだろう。眉を寄せて余韻に浸りながら、またすぐ目を開ける。コメントを読まなければならず、目はうるうるして、甘い声が止まらない。

ー入ってるとこみせてー
ー悲しいのに手は止まらんえろすぎるー

『はいってると、こ?……やだ、えー、やだ、ン、やだ、♡♡』
コメントに反応し、眉を寄せて首を振るけれど、後ろで何かを話しかけられているのか、また彼氏の方に振り返る。そして、後ろの彼にも同じように首を振っている。
『だめ、ンンンン♡♡あ、イクやだ、まって、やだ、あッイク♡♡♡』
首を振って嫌がりながらもイイところを突かれているのか、一段と声が大きくなる。そして、暫く揺さぶられた後で大きな声喘ぎ、びくんと身体を跳ねさせた。

ーめっちゃはげしいなwwー
ーうわ、イッた?とろ顔やばー

じゅったは深イキしているのか、ゼーゼーと、大きく息をしている。この短時間でまたイッてしまったようだった。
『……ん、ん、ちょ、だめだって、だめ、』
じゅったがイッた余韻に浸っている間、突然画面が大きく揺れた。慌てているじゅったの声で、彼氏がカメラを手に取った事が分かった。止める彼に構わず、カメラにじゅったの身体が映ると、彼氏のそれが埋め込まれた結合部がはっきりと見えた。

ーおおおおおー
ーナイス彼氏ー
ーえっろー

『かわいいねじゅった』
カメラが近付いたことで、彼氏の声が聞こえる。良く見えるようにか、片手でじゅったの尻を開き、ローションで泡立ったそこを見せつけられた。
『ばか、も、』
かわいいねと言われて満更でもないのだろう。悪態をつく声も甘い。顔を映そうとするカメラに、じゅったは顔を逸らした。
『カメラの方に向こうか?』
『やだ、むりだって、っ』
『だめだよ』
『ぅ、やだ、ぁあああ♡♡』
微かに抵抗したじゅったを咎めるためにか、繋がったままぐるんと回転させられた。その刺激が強かったのか、じゅったは仰け反って見せ、勢いでぶるん、とじゅったの彼自身が抜けてしまった。明らかに通常の人よりも大きいそれや、射精をしたせいで精液が付いたじゅったの腹、そしてじゅったの濡れた自身が映った。

ー彼氏のでっかー
ーじゅったえろいやばー

『も、ばか、』
『横にカメラ置く?』
『……ん、そうしよ…』
少し体を捻ってじゅったがカメラを受け取ると、横から体が見えるように角度を調整して固定させた。その間にも、彼氏の手がじゅったの身体を愛しげに撫でている。

ーじゅった顔見えないー
ー顔みせてくれー

『あ、顔うつんない、……ちょっとまって、ね、』
定位置に戻ってから顔がうつらないのに気付いたようだが、俺達に待つように伝えると、じゅったが彼氏に手を広げる。彼氏はそれに応えるようにじゅったの体に折り重なった。
『かわいいねじゅった』
かろうじて見えないところでお互いマスクを取ってキスをしているのだろうか、リップ音が聞こえる。

ーおいおいおれのじゅったがー
ーじゅったいちゃいちゃしてるー

『ン……は、♡ごめん、おまたせ……』
キスが終わったのか、マスクをした後彼氏の下から手を伸ばし、カメラに身を乗り出すと角度を調整し、わずかに顔がうつるように変えられた。
『また、ふといの、いれてもらうから、みてて、ね♡』
期待しているのであろうその声が、興奮しているのが伝わって来る。体を彼氏の下に戻すと、彼氏が少し体を乗り出した。その直後、甘い息が聞こえ、挿入されたことが分かった。そのままゆっくりと腰が進み、気持ちよさそうに身体を逸らせる。じゅったの身体が美しくしなり、微かに足が震えているのも分かる。

ーじゅったえろー
ーじゅったきもちいい?ー

『じゅった、きもちいい?って』
『ん……♡♡さいこぉ♡きもちい……♡♡ン、あー……も、これ、すき……っ♡』
『いいこだね』
彼氏がじゅったの頭を撫でるとゆっくり腰を揺らし始めた。じゅったは縋るように背中に手をぎゅっと回してしまい、カメラから顔が見えなくなってしまった。

ー顔見えねぇー
ー声可愛すぎるえろすぎー

『ね、きす、したい……ンっきす……♡♡』
『だーめ、マスクしてるでしょ』
『やだ、ぁ♡きす……ん、ふっ……、おねが……♡』
腰を揺らされながらいやいやと首を振って懇願するさまは可愛らしく、今までの配信では見られなかった姿にコメント欄がざわついた。

ーかわいすぎるだろ!!ー
ーあー……俺のじゅったが!かわいい!!ー

『あはは、キスね。わかった。かわいいね……』
じゅったに覆いかぶさっていた体を起こした彼氏は、じゅったの腕を掴んで背中を支えて起こし、膝の上に乗せた。
『ん、……ああっ♡♡、ん、ふか、い♡♡』
ぴったり身体にくっついている腰が、かくかく揺れてしまっている。快楽に身体がびくついているようだ。そして、カメラには肩から上がうつらない。それを確認してか、マスクを外す仕草をするじゅったが彼氏の首に腕を絡ませ、また水音とリップ音を響かせた。

『ん、すき、すき……』
『I love you』
完全に二人の世界になってしまっている。何度かのキスを繰り返した後で、クスクス笑いあっている。じゅったは暫くキスを楽しんだ後、満足したのか再びマスクし、ベッドに押し倒されて正常位に戻った。

ー彼氏外国人かよー
ー勝てる気が一切しないー
ーじゅった可愛すぎて泣いてるー

『みんな、ちゃんとみてんの?♡ちゃんと、みて♡ん……っ♡♡……あ♡』
カメラに向かってひらひらと手を振り、俺達に問いかけると、また身体が揺さぶられ始める。さっきまでのゆっくりした腰の動きではなく、激しく打ち付けられている。嬌声と肌がぶつかるパンパンという音がし、じゅったは太ももに添えられていた彼氏の手を耐えるように掴んでいる。気持ちいいのか足にも力が入ってピンと指が張っている。
『締め過ぎだよ、じゅった、中出しされたいの……?』
『ンンン、♡♡された、されたい、あ!っだめイク、イクっーーーーー♡♡』
何度も頷いたじゅったは耐え切れなくなったのか、びくびくと身体が震わせ、仰け反った。またイッてしまったらしい。暫くし、力が抜けたのか浮いていた身体がベッドに沈んだ。
ーまたイッたのかー
ー何回イッてんだよー
ー俺のじゅったー

『あはは、ね、じゅった、俺のじゅったって言われてるよ?そうなの?』
放心状態のじゅったに彼氏がそう話しかけると、ぼんやりとカメラに顔を向けた。そして、コメントを眺めた後で彼氏の方を向いた。
『んー……引退したら、お前のもの、じゃん?身体は、もうおまえのだけど……』
『そこはお前のだよ?じゃないんだ?』
『だってじゅったはみんなのもんだけど………てか、……は、お前のだよ』
彼氏にだけ聞こえるように、顔を寄せてじゅったが彼氏に囁く。多分本名を言ったのだろうか。それを聞くとお互い目を合わせて微笑んでいる。

ーあああああ引退つらすぎるー
ーじゅったのせっくす配信えろすぎー
ーくそ、いちゃいちゃすんな!ー

『な、そろそろ、中で出して、ちょうだい、奥に……』
『俺の精液欲しい?』
『ん、ほしい、おねがい……』
とろとろ甘々なじゅったの声を初めて聞いた。可愛くて、愛しいのにもう彼は彼氏の物だ。二人は顔を寄せるけれどマスクがあってかキスが出来ず、笑い合った後で腰が再び揺れ始めた。

ーこれで引退かよ、続けてくれよえろすぎるー
ーせっかくじゅったのえろせっくす見れたのに最後とかー
ー泣きながらシコってるー

『あ……やば、おく♡……あ、だめだめっ♡♡きもち、よすぎ、しぬ♡ンンっ♡♡』
『は、かわいい』
『ねぇ♡好き、っ好き♡』
甘えるような声を出しながら身をくねらせると足を腰に絡ませた。腰は一段と激しく動き、じゅったは必死にしがみついている。

ーだいしゅきほーるどじゃんー
ー中出しされんのじゅったー

『あああ、だめ、だめぇ……イク、イクまた、~~~~うううっ♡♡』
『で、る、』
甘い声で絶叫し、びくびくとじゅったの身体が再び跳ねた。今日何回目の射精だろうか。折り重なって動いていた彼も身体を震わせた。暫くは全部絞り出すかのように僅かに動いていた腰も止まり、はぁはぁと荒く息を繰り返したままじゅったに覆いかぶさった。

ーじゅったが中で出されたー
ー俺のじゅったがじゅったじゃなくなってしまったー

『……好き』
『俺もだよ、』
余韻に浸っているのか暫く、くすくす笑いながら囁きあう二人を温かく見守った後、深く息を吐いた彼氏がまたカメラに手を伸ばした。カメラが少し揺れた後でまた下半身がうつされて、じゅったが呆れたような声を出した。
『ちょ、なにやって』
慌てているじゅったに構わず、ゆっくり腰が引かれていく。大きいせいか少しだけ引き摺られながら、繋がっていたじゅったの彼氏のがそこからいやらしい音を立てて抜かれた。
中に出された精液とローションが空洞になったそこから溢れている。

ーはあああー
ーえっろ彼氏よくやったー

『ちょ、ばか、』
『最後だからサービスしなきゃ、ね?』
そう言って、じゅったの手を引っ張り起こすと、彼氏が自分のを指さしている。それの意図を俺達よりも先に理解したじゅったは、少しとろんとした目で寝そべった彼氏の股の間に入った。見下ろしていた角度から、今度はじゅったを見上げる角度になる。マスクを少しだけ浮かせ、真正面からカメラに顔が映らないようにし、彼氏のものに手を添えた。

ーうそだろ、おいもしかしてー
ーおそうじ……じゅった、俺のもしてくれよー

『ん、……ン』
『えらいね。いいこ』
マスクで隠れているけれど、舐めて綺麗にしているのだろう。ちゅ、ちゅと水音がする。じゅったは頭をよしよし撫でられて嬉しいのか、目を細めている。丹念に舐めて綺麗にし、ある程度舐めたのを確認したのか、再び彼氏が頭を撫でた。もう大丈夫と伝えているようで、再びマスクを直すけれど、そのマスクもところどころ濡れている。
『じゃあ、最後だから挨拶しようかじゅった』
『コメントみえねーよ……』
そう言うと彼氏が動いて見えるところに移動させてくれて、画面を二人で覗き込んでいる。リスナーのみんなはと言うと、その二人の顔面の綺麗さにうるさく騒いでいる。

『みんなー』
コメントが確認できたのか、笑顔でカメラに手を振っている。その表情は気だるげで色っぽい。

ーじゅった!!!!ー
ーじゅった最高にえろかったー
ーまじで終わりなの?ー

『ごめんね、みんな今までありがと』
手をひらひらと振りながらコメントを読んでいるのか、目がくるくると動いて可愛らしい。
彼氏は気を遣ってくれたのかカメラから外れた。

『みんなありがとう、本当に』

ーじゅった俺もありがとうー
ーさびしいぞー
ーめっちゃシコれたありがとうー

『あはは、よかった』

ー彼氏さんと幸せになー
ー俺は帰ってくるの待ってるからな!ー
ーおつかれー

『ありがとう、』
やっぱり辞めないと言って欲しかったけれど、にこにこと幸せそうに俺達にお礼を言ったのを見て、皆諦めがついたようだった。コメントを見ていたじゅったの顔が彼氏に呼ばれたのか不意にそちらに振り返る。すると、彼氏の手がじゅったのマスクを少し上げ、口だけ捲られるとそのまま唇を重なった。
彼氏の顔にはもうマスクがついていなかったけれど、角度的には顔が見えず、そのまま彼氏の手がカメラに伸びて来るのが映ったのを最後に、配信が切れた。

 

 

「は、お前、まだちゃんと挨拶してないのに……」
「そっちばっかり見てたから」
「まじでお前嫉妬深いな……」
マスクを邪魔そうに剥ぎながら苦笑いをすると、ジェシーと目が合って微笑まれた。俺は布団の上にごろりと身体を投げ出すと、ジェシーに手を広げてみせれば、それに気付いて俺に覆いかぶさると、愛しそうに頬を撫でながら見詰めてくる。キスがしたくて首に腕を絡ませれば、応えるように唇が重なった。
唇の隙間から舌が入ってきて俺のに絡まると、そのまま弄ばれる。そして散々口内を犯した後、唇を離すときに吸われ、蕩けそうになってしまう。ジェシーとのキスが本当に好きだ。
「どうだった?引退配信生SEXは?」
くすくすと笑いながらジェシーが頬を撫でてくる。俺は眉を寄せながらも、その手に頬擦りをする。
「すげぇ気持ち良かった。最高」
思い出してもまだ胸がドキドキする。不特定多数の大勢にSEXしているところを配信してしまったという羞恥心と背徳感が脳を痺れさせる。ジェシーはくしゃくしゃと頭を撫で、そのまま俺のスマホに手を伸ばし、俺に差し出してきた。俺は意図が分からないままそれを受け取ると、ジェシーがにっこりと笑った。
「じゃ、アカウント消そっか」
「え?!いま?」
「いま。俺の目の前で消して」
さらりと髪を撫でてくる手は優しいのに、じっと見詰めてくる目が怖い。
仕方なくホームを開いてアプリを起動させると、たくさんの通知やコメントがきていた。
ちらっとジェシーを盗み見るけれど、ジェシーは俺を監視するように首を傾げたままこっちを眺めている。俺は逃げられないと判断し、仕方なくアカウント削除のボタンを押した。

一か月はアカウントが完全に削除されないことを知っているジェシーに、会うたびにスマホをチェックされてしまい、完全に俺の裏アカは名残惜しくも削除されてしまった。
なんだかんだ言ってDMが気持ち悪いとか、投げ銭の為とか言っていたけれど、コメントや大量の通知が来ているのが嬉しかったりもして、愛されてるって何となく分かってた。

だから少しだけ名残惜しいけれど、
みんなの分、ジェシーに愛してもらうから、
みんな、心配しないでね。

送信中です

×

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!