覚えていたい

「じゅり、そろそろ出掛けないの?なんか食べに行こう」
一人用のソファーに座っている自分の股の間、揺れている頭の主に声を掛ける。俺の言葉に反応し、愛しい恋人の樹はやっと顔を上げた。
「食べてるじゃん、いま」
そう言いながらも、ただなぞって触ったり、扱いてみたりするだけでもどかしくなる刺激を与えてくる。だから、そうやって遊びたいのかと思っていた。
「樹はそうかもしれないけどさぁ。遊んでないで行こうよ」
「遊んでねーよ。そう言いながら勃起させてるけど?」
そう言って温かい舌を這わせ、根元から先端まで丁寧に舐めてくれる。唾液で濡れた自身がてらてら光ってみえ、楽しそうな樹と対比して思わず息が漏れた。樹はその反応に、悪戯っぽく笑う。
「こうやってじっくり見る事ないから、楽しくなってきた」
「そうだっけ?」
そう聞くと、そうだよ、と不満そうに眉を寄せて軽く根元を扱かれる。俺は樹の頭を撫で、そのままするりと耳まで撫でる。
「してる時の記憶割とマジ飛んでて覚えてないんだよ」
「あー……そうなんだ?」
「だから、理性飛ばさずにやってみたくて」
やっぱり、お誘いだったのか。出掛けようと言って支度までしたのに、中々行こうとしなかった理由が分かって、思わず笑ってしまった。頬を撫でてあげると擦りよる恋人に欲が湧き上げり、なるべく低い声で発した。
「じゃあ、ちゃんと完勃ちにさせて」
「ん、わかったぁ……」
待ってましたとばかりに俺のを口に咥える樹に、あ、ちょっと待てよと、ふと気づき、「じゅり」と名前を呼んで止めさせる。樹はそれに反応して、お預けを食らって眉を顰めながら俺を見上げた。
「手コキのがいいんじゃない?じゅり、顔がとろんとしてる」
「う、うそだぁ」
眉を寄せて口から俺のを一旦出すと信じられないというように情けない声を出す。俺はその情けない声に笑いながら、親指でくすぐるように頬を撫でる。
「本当だよ。喉の奥も感じちゃうようになっちゃった?」
「ち、がう。ばか」
怒っているのか照れているのか、不機嫌そうに口を尖らせ、言われた通りに手でゆっくり扱き始める。固くなっていくそれを見て興奮しているのか、顔が少し赤い。その色っぽさに、思わず口角が上がる。
「じゅり顔がとろんとしてるよ。理性は?」
「うるせ、大丈夫だわ!あー、もう大丈夫だろ、いれよ」
まだ少ししか舐めていないのに、耐えられなくなったのかズボンと下着を脱ぎ捨て始める。そして、近くにあった一回分のアナル用のローションのパウチの封を開けて、躊躇なく中に入れる。すぐにでも出来るようと準備していたのが見て取れて、可愛いなぁ、と顔が緩んでしまう。馴染むように指で軽く広げ、早速俺に跨ろうとして、慌てて止めた。
「じゅり、ちょっと待って。ゴムは?」
「も、いいから、いれる、」
俺に止められると、彼は顔を顰めてみせた。それが、本当に今すぐSEXがしたいのか、それともゴムを付けて欲しくない口実か、あるいはどちらともなのかもしれないが、断る理由もない。駄々を捏ねる恋人は、可愛い。
「わかった。いいよ。でも俺が動く」
「なんで、」
「場所変わろ。じゅり自分で動いたらすぐ飛んじゃいそう」
ポンポン、と腰に手を回して催促すると、名残惜しいのか俺のをひくひく求めるそこに擦りながら、漸く止まる。本当だろうな、とでも言いたげだけれど、そんな嘘は吐かない。快楽を欲しているせいか頭が回ってないようで、むすっとした顔をしたまま、膝に乗ろうとしていた足を下ろした。
「んなことないけど、わかった……」
「……じゅりそんなに覚えていたかったんだね」
「ん、だって、忘れちゃう、じゃん」
あくまで不機嫌そうな顔を作っているが、照れ隠しなことが伝わってくる。宥めるように樹の腰を撫でながら、上から退いた彼に続くようにソファーから立ちあがる。そして、代わりに樹をソファーに座らせた。
「一人でするときおかずにしたいの?」
「あーあー、うるせぇ、ばかはやく……」
「俺とのSEX思い出しながらオナニーするんだよね?嬉しいよ」
「違わないのがムカつく……」
その言葉に笑いながらちゅっと音を立ててキスした後、ソファーに座ったその腰を引き寄せる。背もたれを掴ませ、腰が振りやすい位置まで引き寄せると、お願いされた通り、完勃ちした自身をローションで濡れたそこに擦り付ける。勿論、ゴムはつけないまま、亀頭で入り口を擦り、押し当てると、樹の腰は期待で揺れた。
「じゃあいれるよ?ゆっくり、ね」
「ん、ん、はやく……っ♡」
急かす彼に静かに興奮しながら、ゆっくり時間を掛けてそこに侵入していく。少しずつ少しずつ内壁を押し広げて進めば、ぎゅうぎゅうに締め付けられて気持ちがいい。奥まで馴染ませるように腰を進めて入れると、一度動きを止め、浅く息をする樹の頭を優しく撫でた。
「あぁ、じゅり、わかる?おれのぴったり」
「ん、わか、る、中に、」
「俺以外の入ったら物足りないよね、きっと、こんなにぴったりだから」
「ん、他のなんて、あぁ♡」
「動いて欲しいの?中うねってる」
愛しくて少しだけ意地悪したくて、そ実感して欲しくてそう言うと、樹はごくりと唾を飲んだ。そして、動いて欲しいのか中で吸われている。このまま動かないなんて無理だと腰を揺らせば、樹はびくりと身体を震わせた後、首を振っていやいやした。
「あ、そんな、ゆっくり、きもち、い♡♡」
「じゅり、ここ女の子なの?精液欲しいって締めてくるよ」
「うそ、だ、やぁ♡」
「でもまだだよ、ゆっくり楽しもうね」
「うっん♡あ、なんか、これ、だめぇ♡」
ゆっくり動かしているのに、もう蕩けてしまった顔をしている。本当に大丈夫なのだろうか?気持ちよくなってくれているのは嬉しいけれど、樹のご希望に応えられているのか、分からない。
「どうしたの?凄い締めてくる。生好きだった?」
「あ、生も、やばいけど、ゆっくりされんの、も……やば、い♡」
俺が尋ねると樹は甘い声で返してくれるけれど、すぐにでも快感に呑まれてしまいそうな顔をしている。俺に支配されたがっているようで、愛しくて意地悪したくて、自分でも自覚するくらいねっとりとした声で囁いた。
「そんなに俺のが好きなの?生で中出されて、俺の精液中にいれたまま出掛けてみる?」
「……っふ♡♡あ、そんなこと、」
びくりと樹の身体が分かりやすく震え、ゾクゾクした。想像して感じてしまったのが伝わってくるくらい、切なくきゅーっと中で締め付けられる。本当に、愛しくて可愛くて、たまらない。
「うそだよ、お腹痛くなっちゃうよ、じゅり」
「ううう、ば、か、ぁあ♡♡」
「それとも、したいの?他のメンバーの前で俺の精液いれたまま仕事する?」
「そんな、こと、できないっ♡♡中にいれた、まま、なんて、♡♡」
言葉とは裏腹に、ハフハフと荒く息をしながら喘いでいる樹に、笑ってしまう。俺に意地悪な事を言われて、明らかに身体は嬉しそうに反応しているのを見ると全然説得力が無い。俺が動くたびに結合部からはぷちゅぷちゅ水音がして、溢れたローションが泡立ち始める。
「あー、じゅり、気持ち良いよ、どう?飛ばないで覚えてられそう?」
「う、う、ぁあっ♡♡わかんね、きもちくて、うううう♡♡」
必死に理性を保とうとしているせいか、俺の服を握り締めて引っ張っている。足の指はピンと張って、釣ってしまわないか心配だ。
「可愛いね。顔真っ赤だよ。1番奥にもキスする?」
「あ、して、奥突いて、ほし、い♡♡」
お願いを聞いて動きを徐々に早くすると樹の喘ぎ声が止まらなくなる。快感に完全に堕ちている樹に笑ってしまう。
「奥に欲しいなんてそんなに俺との子供欲しいの?」
俺の服にしがみ付いて、足をピンと張って快楽に没頭している樹の耳元でそう囁くと、その身体が一段と震えた。
「んんんん、イ、く♡♡♡♡」
その瞬間、突然身体に力を入れた樹がびくびく震え、イッてしまった。
快感で痙攣するように震え、余韻に浸って目は虚ろだ。何度も荒い息を吐きながら落ち着こうと頑張ってるけれど、俺も限界が近い。
さっきからずっと締め付けられて気持ち良くて、出したいけれどまだSEXしていたい気持ちもある。けれど、目の前で恋人が気持ち良さそうに喘いで善がっているところを見せつけられ我慢なする方が無理だ。
顔を真っ赤にして甘い息を吐いている樹に、キスを落とした。
「可愛いね、じゅり」
唇を離しながら伝えると、うっとりとした表情で見上げてきた。その目はうるうると水分量が多く、俺を求めていた。
「は、ぁ、じぇしー、いいよ、きて、」
俺のが中で限界だと分かっているみたいだ。息を吐いて、意識をなんとか飛ばないようにと頑張っているように見える。ギリギリそうではあるけれど、大丈夫だというならその言葉に甘えよう。
「いいよ、ちょっと激しくするね?」
そう断りを入れてから、腰を打ち付ける。パン、と肉と肉がぶつかる音が擦れば、樹は喉を仰け反らせ、ひゅ、と息を詰めた。
中狭く、熱く、俺を求めるようにうねって刺激してくる。その樹の中で自身を擦らせれば、すぐにイッてしまいそうな程気持ちいい。樹も再び襲い掛かる快楽に抗おうとしているのか、俺の服から手を離し、必死にソファーの背もたれを掴んで耐えている。
「んんん♡♡あ、やば、きもちいっ♡」
「俺もだよ、じゅり」
俺達の間でローションが糸を引き、水音を鳴らしている。樹の出した精液と、再び垂れ始める先走りで中途半端に着ていた服を汚している。腰を振る度に樹は息が出来ているのか心配なほど、ハッ♡ハッ♡と獣じみた呼吸を繰り返している。
角度を変え、さらに奥に入るようにグラインドさせると、くぽくぽと最奥が俺を求めていた。俺はそれに応えて、先端を押し付けた。
「じゅり、ここ好きだよね?」
「ひ♡♡ううううっ♡♡あ、うそ、また、やばい、イっっ♡」
言い終わる前に、樹の身体が大きく跳ねた。先ほどイッたばかりのはずなのに激しい律動に耐えられなかったのか、呆気なくまたイッてしまった。痙攣が止まらず、足は何度も震えている。
「あー、またイッたね、大丈夫?」
「ん、ん、」
「あれ?飛んでない?大丈夫?」
「あ、ぁあ♡♡」
「じゅり?」
意識があるのか心配になり、止めていた腰を少しだけ動かすと、びくりと身体を震わせてやっと俺を見上げる。大丈夫なようでホッとし、また腰を動かす。するとまたすぐに甘いが部屋中に響いた。
「んん、じぇしー、すき♡♡とぶ、飛んじゃう」
「あー、頑張れ、飛ばないで、俺止めよっか?」
「やだ、動いて、またイきそ、なの、中に、出して、じぇしー、じぇしーの、」
「あはは!……分かった、俺も、そろそろ出したかったから」
樹がイく度に凄く締められて、もう何回もイきそうだったけれど、イッてる樹を見たかったから耐えていた。
身体を固定させるようにソファーに押し付け、腰を揺らせば、樹が激しい快楽に「お♡お♡」と唸ってる。激しく中を突き上げると重いはずのソファーが少しズレて動いて、下の階の人、煩かったらごめんね、なんて思いながらも頭はちかちかしてくる。樹もまた、限界なのか、首をいやいやと振り始めた。
「んーーーーー♡♡だめ、また、くる、ぅ♡♡」
「あ、じゅり、出すよ」
「んんん、なか、なかに、♡♡」
そのつもりだったけれど、その言葉、結構キた。ラストスパートに激しく中で擦り上げると、頭の中が真っ白になり、絶頂を迎える。俺のは樹の中で波打ち、びくびくと精液を吐き出した。びゅくびゅくと中で出ているのが分かる。中でぎゅうぎゅうに締め付けられ、搾り取られる。
「あー、すごい、中、よろこんでるね」
「ん、ん、あ、出てる……♡」
「あーあ、男だけど俺の子供欲しくて中出しされて、メスイキしちゃうって、みんなに言わなきゃ、ね?」
「ひ、♡♡」
そう言って頭を撫でると、また樹の身体がビクビクと震えた。
あー、もうなんていうか、樹って本当にドMだよな……。
粟立ったそこからずるん、と自身を引き抜くと、ローションと精液が俺と樹の間で糸を引いている。余韻に浸ったまま何度か呼吸を整えれば、樹も震えは残っているものの、ゆっくり息が出来ている。

「で、樹、覚えてる?」
そう尋ねると少しの沈黙のあと、樹が口を開いた。
「……あー…………もうはめ撮りしちゃうか?」
結局、いつも通り殆ど飛んじゃってたらしい。いつになったら樹の願いは叶うのか。その日が来て欲しいような、来て欲しくないような。
だって、ずっと樹には気持ち良くなって欲しいから。それが俺の願い。

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